日本一高い山は、富士山。日本人なら誰でも知っていますよね。
実際、関東や中部地方の山に登ると、たいてい富士山が見えます。平野部でも富士山が見えるポイントは多く、各地に「富士見」がつく地名があります。
そして確かに、どの山よりアタマひとつ抜け出しています。しかも、どこから見ても端正な円錐形なので、すぐ分かります。実際には、静岡側(太平洋側)の方が斜度が急なので、真東や真西から見ると少しだけ南に傾いて見えますが。
さて、その富士山。標高は3,776mです。ちなみに、2位は北岳で3,193m、3位は奥穂高岳と間ノ岳で3,190mです。以下、3,000mを超える山が続きますが、富士山だけがこれらの山より500m以上高いことになります。
この稿のタイトルは「富士山は低い」ですが、べつに富士山の高さを否定したいわけではありません。ただ、横方向に目を向けるとどうでしょう。確かに富士山は高いですが、その左右に広がっている山々を見て何か思いませんか、ということです。
距離を示すとき、一般にkm(キロメートル)という単位を使います。富士山の高さをkmで表すと、3.8km弱です。これはちょうど、大人が1時間で歩ける距離に相当します。海抜0mから富士山に登るのは大変ですが、横方向に3.8km歩くのはそんなに大変ではありません。
つまり何がいいたいかというと、大地の広がりに比べると日本一の山でもそんなに高くないということです。1枚めの写真は飛行機から写した富士山ですが、広い大地のなかにボツンとフジツボのように見えます。
2枚目の写真は、直径30cmの地球儀です。地球の直径は約12,742kmとされています。この数字で計算すると、写真の地球儀で富士山の高さは0.0889mm、つまり0.1ミリにも足りません。
ちなみに、世界最高峰のエベレスト(チベット名=チョモランマ、ネパール名=サガルマータ)は約0.2mmになります。1mmの5分の1です。
世界一深い海は日本の南方にあるマリアナ海溝で、最深部は水面下10,911mとされています。同じように計算すると、約0.26mmです。
地球がいかに滑らかな球体か、驚きます。
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では、また。
下島 朗