先日(2018年3月19日)、NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』でYouTuberのHIKAKINさんとプロゲーマーの梅原大吾さんが紹介されていました。番組のテーマは『新しい仕事スペシャル』。まだ馴染みが薄い、でも若い世代に注目されている仕事を取り上げるといった趣旨でしょう。
ネット上のニュース記事によると、中学生が憧れる職業のトップ3にYouTuberが入っているそうです。一方で、親世代が「子どもに就いてほしくないと思う職業」でYouTuberがダントツ1位だったりするそうです。その理由は、「一時的」で「不安定」といった意見が多いようです。
確かに、YouTuberもプロゲーマーも、安定性のない厳しい仕事だと思います。『プロフェッショナル』でも、2人が悩み、苦労しながら今のポジションを獲得し、維持している姿が紹介されていました。けして、楽に稼ぎ、好き勝手に生きているわけではない、ということが伝わってきます。
私は、YouTuberもプロゲーマーも職業としてアリだと思います。というか、その本質においては特に新しい仕事とは思えないのです。
HIKAKINさんは、日々ネタを考えて、自分が演者となり、動画を編集してYouTubeで公開しています。インターネット上の動画配信メディアを使うところは新しいですが、コンテンツクリエイター兼パフォーマーという点では、芸人やシンガーソングライターと同じではないでしょうか。
梅原さんが活躍している分野は「eスポーツ」とも呼ばれるそうですが、実際、プロボクサーやプロゴルファーなどのスポーツ選手と同じだと思います。自分が得意な競技で強くなって試合に勝ち続ける。その結果、賞金が出たりスポンサーが付いたりして稼ぐことができる。でも、勝てなくなったら終わり。
身体を使うスポーツとゲームを一緒にすることに違和感を覚える人もいるかもしれません。しかし「ゲーム」という括りで見ても、日本には以前からプロゲーマーが存在します。囲碁や将棋のプロ棋士は、盤上で対戦するのが仕事です。
つまり、ステージや種目が新しいので目新しく見えますが、HIKAKINさんの仕事は初期のタモリさんや中島みゆきさんの仕事と同類だし、梅原さんの仕事は羽生善治さんやテニスのウィルアムズ姉妹の仕事と同じだと思うわけです。もっと若い人を引き合いに出すほうがいいかとも思いますが、HIKAKINさんも梅原さんも、藤井聡太さんや大坂なおみさんより歳上なので…。
いずれにしても、芸人も歌手もスポーツ選手もプロになること自体が大変ですが、長く活躍するのはもっと大変だと思います。この点、YouTuberもプロゲーマーもまったく同じでしょう。
と、こんな思索を巡らせていると、ひとつの言葉を思い起こします。
不易流行
普遍的な物事の中に新しい要素を取り入れていく。新しい要素を取り入れて変化し続ける中に普遍性がある。そんな思いが、改めて浮かんで来るのです。
最後は、田坂広志先生の「風の便り」風にまとめてみました。(笑)
では、また。
下島 朗