インターネットは、どんどん新しい情報が出てくる、変化が速い、といった印象を持っている人が多いと思います。紙の本は長く読まれることを前提にしたストック型の情報、これに対してインターネット上の情報はフロー型といえるかもしれません。
しかし、それだけでしょうか。たとえば、社会派ブロガーとして有名な、ちきりんさんが2017年5月1日にツイッターでこんなことをつぶやいています。
10年を超えてブログを書いてると、「10年前ってこんな感じだったんだ。日本も結構変わってきたねー」と思うことと、「既に10年前にはこんなこと書いてるのにぜんぜん変わってないなー」と思うことと、どっちもある。
— ちきりん (@InsideCHIKIRIN) May 11, 2017
ニュースやSNSの投稿のように、どんどん流れていく情報が多いのは確かですが、インターネットが商業利用に開放されて20年以上が経って、情報が積み重なることによる価値も生まれていると思います。
20年、コツコツ増やして3000語
私(下島)には、長年つくり続けてきたインターネットコンテンツがあります。株式会社NTTPCコミュニケーションズの公式サイトに掲載されていた「用語解説辞典」です。
最初は、同じNTTグループの別の会社のホームページ用コンテンツとして1997年5月にスタートしました。その後、NTTPCコミュニケーションズに引き継がれて、この投稿の執筆時点でちょうど20年になりました。
内容は、パソコンやIT関連の用語をコラム形式で解説したもの。『事例s』の用語コラムと同じような感じ、というかNTTPCの「用語解説辞典」と同じ形式でエコ用語を解説したのが『事例s』の用語コラムでした(現在は、事例s 用語解説に変更)。
1997年5月に「用語解説辞典」をスタートしたとき、登録用語は103語でした。その後、毎月20語くらい増やしていた時期もあるし、毎週、新しい用語を追加していた時期もあります。
最後の方は月に2回、各5語ずつ増やして、登録語数は3200を超えました。見出し語は、5000以上あると思います。というのは、たとえば「ウィンドウズ」と「Windows」、どちらで引いても同じ解説文が開くようになっているためです。
もちろん、今では使われなくなった用語もあります。一方、20年前に登録したのに、今でも使われている言葉もあります。また、時代や技術の変化に伴って意味が変わった用語もあります。そのため何度か、内容のメンテナンスを行ったのですが、今でも初期の用語からほぼすべて公開しています。
このコンテンツを始めたとき、まさか20年も続くとは思いませんでした。というのも、当時もインターネットの価値は、どんどん情報を流せること、内容を変えていけることだと認識されていたのです。
しかし私は、このコンテンツを始めるときから、インターネットはフロー型の情報だけではない、スットク型の価値も作れると考えていました。
長くなってきたので、続きは次の投稿で。
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記:下島 朗